TwinTrip
2004年02月13日
シービスケット
不本意ながら入った私立大学での生活は
とても楽しかった。

名実ともにボンボンだった俺の周りには
常に色んな女が群がっていた。
鬱陶しいぐらいに媚を売ってくる女達は
誰も"俺"という個性など見ていないヤツばかりで
心底嫌気がさしていた。

当然、そんな女達にはそれに相応しい扱いをした。
持ち上げるだけ持ち上げておいて落とす。
恋愛感情なんて抱いたことは無い。
あれだけ卑しい下心に数多く接していたら
俺みたいになるのは至極当然の結果だ。

そんな中で俺を意識的に避ける女がいた。
気になって追いかけてみた。
時間をかけて口説くうちに結局落ちた。
この女もか、と思った矢先に突然フラれた。

ありえない話だ。
何が不満だって言うんだ。

人を使って調べさせると彼女の父親は会社が倒産し
億単位の借金を抱えている事がわかった。

さんざん親に贅沢させてもらってる女なのに
まだ足りないまだ足りないとばかりに
やたらプレゼントをせがむバカ女と違って
彼女は一言もそんな話はしなかった。

フリだけじゃない清貧さに俺があっさり落ちた。

まもなく彼女は妊娠した。
結婚するつもりで親に紹介した。
彼女が帰った後、親父は激怒した。
勘当されてもいいのか?
それで幸せになれるのか?
さんざん怒鳴り散らした後、

「一度や二度のつまづきは、誰にでもある」

そう言って親父は札束を俺に渡してきた。



許さない。
絶対に許さない。

親父に言われるがままの選択をした俺自身を。
− ユウジ -
シービスケット
ね、
そんなに気にしないで?

あのね、
アインシュタインも言ってたんだって
「失敗しない人間は、絶対いない。」って。

ね。
ホントにそうだと思うなー。
私ね、アインシュタイン、好きなのー。
アインシュタインの本もいっぱい読んでるんだよ。

彼はこうも言ってるんだよ。
「可愛い女の子と1時間一緒にいると、1分しか経っていないように思える。
熱いストーブの上に1分座らせされたら、どんな1時間よりも長いはずだ。
相対性とはそういうことである。」

私、相対性ナントカとか、ぜんぜんわかんないけど、
こう言われるとなんとなくわかるよね。
難しいことを易しい言葉で言ってくれる人ってほんと頭イイと思うよねー。
あ、話がずれちゃった。

あのね、確かこうも言ってたの。
「知識より想像力が大切だ。」

これって、発明だけじゃなくて
セックスにも当てはまるよね?
変な知識に踊らされないで、
大切なのは好きって気持ちと想像力、相手への思いやりと甘いキス。

ね、
だからそんなに気にしないで?

「一度や二度のつまづきは、誰にでもある」

初めてのセックスで立たなかったなんて
よくあることだよ。少年。
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