TwinTrip
2004年01月30日
半落ち
やっぱりか・・・。

結局アタシの願いもむなしく
彼は旅立つことになった。

ある程度覚悟していたとは言え
やはりツライ。

単なる遠距離恋愛とは訳が違う。

何も知らない人は言う。
嫌なら辞めればいいのに、と。
でもそんな簡単な問題じゃない。

彼は自分が生まれた国を守りたくて
自衛隊に入ったの。
何故他の国に行かなければいけないの?
自衛隊は自衛する為の隊じゃないの?
自国を守るために存在してるんじゃないの?

もちろん彼は納得しているわ。

自衛と言う意味からは外れるが
外国の治安維持に協力するのも悪くない。
自国が良ければ全てよし
と言う考えでいることの方がよっぽど悪い。
侵略ではなく治安維持なんだから、ね?

でもアタシは納得出来ない。
誰?
誰が決めたの?
アタシその人に聞いてみたいよ。

「あなたには、守りたい人がいませんか」

うん・・・わかってる。
そんな事をしたって彼は行ってしまうし
困らせてしまうだけだって。

陸上自衛隊のキャッチコピーが
「守りたい人がいる」って言うのは皮肉なの?
− ユウジ -
半落ち
結婚してもう半年。
二人の生活にも慣れ、やっと少し落ち着いてきた。
彼との生活は楽しくて満たされているし幸せだ。

一つの気がかりを除けば。

それは彼の母親。姑。義母だ。

彼は義母にとって大事なたった一人の息子。
なにかにつけ「自慢の息子」と抱きしめんばかりだ。
母親にとっては30歳にもなった身長185cmを超える大男でも、息子は息子、
まるで5、6歳の男の子に対するような溺愛ぶりなのだ。

なにかにつけ、嫁から息子を引き離したがる義母。
彼も最初は義母にも私にも良い顔をしようとした。
どちらも大切にしたかったのだろう。
しかし、そのどちらも同じように大切にするのは所詮無理な話なのだ。

「週末、なだ万へ行って食事をしましょうよ」と義母が誘いにきた。
「せっかくだけど、俺たちダメなんだ。土曜は友達の結婚式の二次会に呼ばれていてね」
「それじゃその後に家によって泊まってから、日曜に出かけましょうよ」
「その日は遅くなるから、俺たち行かないよ。
それに、彼女も今週は仕事が急がしかったみたいで疲れているから」
「それじゃあ、あなた一人でくればいいじゃないの!」
「でも俺たち、一緒に週末を過ごしたいんだ」

過剰な義母の干渉に
私たち夫婦が何度も話し合って出した結論がこれだ。

母親と妻との中間に立って、両方にいいようにしようなどと思わず
徹底的に「俺たち」という態度を崩さず、妻の側に立つこと。
人はそんなに多くの人を守れないのだ。
一番大事な人と夫婦になったんだ。まずその人を大切にしよう。守ろう。

私はそういう彼の態度にずいぶん救われた気がした。

だけど、この二人の姿勢は義母をないがしろにする為のものではなく
悲しい事や困った事があったら「俺たち」が相談に乗るし、側にいる。
嬉しい事も、お義母さんと「俺たち」で喜べる。

ね。そんなに悪くないでしょう?

「あなたには、守りたい人がいませんか」

はい。います。
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