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2003年10月10日
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あなたに降る夢
ハッ・・・!ハァ・・・! ・・・・。 ついに来ちまったか・・・。 標高8848メートル。 この場所より高い場所はこの世に存在しない。 この山の頂上だけを目標に 今まで生きてきたようなもんだ。 達成感に包まれている今はいいが 下山してからが問題だ。 過去に何人もが燃え尽き症候群になっている。 マズイ。 まだ登頂して何分も経ってないのに もう気力が萎えてきた・・・。 と、その時 山頂に突風が吹いた。 ん? 心配したかい? 今まで数多くの死線を潜り抜けてきた俺だ。 突風ぐらいじゃ死なないさ。 そうじゃないんだ。 霧がかっていた視界が一挙に開けた。 空を見上げる体勢だった俺は目を疑った。 何が見えたかって? 人工衛星だ。 ほら、気象衛星"ひまわり"だとかあんなヤツさ。 ははは、嘘じゃないさ。 まあ俺だって今までずっと笑い話だと思っていたから 信じられないとは思うがね。 しかしこれほど間近に見えるとは・・・! 俺の頭の中の霧も急速に晴れた。 この分だとあの話も本当かもしれないな。 「星の数ほど夢がある」 地上に俺の夢は無くなった。 次のステージは宇宙だ。 |
あなたに降る夢
先生、ほんとに辞めちゃうの?目に涙を溜めながら 生徒達が口々に問いかけている。 決心したはずなのに 子供達の顔を見ると心が揺れる。 うん、来年、みんなの4年生の担任になれなくてごめんね。 先生、旦那さんと長野に引越すって決めた。 長野に釜を持ち、陶芸をしている夫が事故に遭い、 右半身に麻痺が残ったのだ。 東京と長野を行ったり来たりしていた夫は 陶芸とリハビリのため全ての拠点を長野に移すと決めた。 長野に来てくれ。と、夫は言わなかった。 時々来てくれればいいよ。と。 子供達と離れるのは本当に辛い。 昨今の子供達を取り巻く環境は決して良いとは言えない。 ストレスに晒された子供達は時として驚くような行動に出ることもある。 それを社会の歪みや親子関係や非行など簡単な言葉で置き換えてしまう。 子供達と接し、信頼関係を築くのは難しい。 けれども、 いろいろあるけれども、 個々の子供達は、それぞれに本当に良い子だ。 それだけに子供達と心を通わせられたときの喜びも大きい。 教室に入り、子供達を前にすると、よく思ったものだ。 ここは 「星の数ほど夢がある」場所だ。 この子達とこの場所を愛している。 でも明日からは 一つの夢を 一つの星を胸に 生きて行こう。 |
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