TwinTrip
2003年07月25日
ゴッドファーザー
君の要求はわかったよ。
ちょっと例え話をしてもいいかい?

んー、そうだな。
高温に熱した油に一滴の水を入れると
どうなると思う?

そうだね。あっという間にはじかれるよね。
これがさ、一滴じゃなくてもっと量が多かったりすると
話はまた変わってくるんだよね。

高温に熱した油に大量の水。

あはは!
いい表情だね。
想像しただけでゾッとするよね。

つまり、僕が言いたいのは
「友情と金は水と油だ」ってコト。

君と僕との友情は深い。
大量の水なんだよ。
で、僕が宝くじで当てた3億円は油。
とびっきり高温の油だよ。
ね?
危険でしょ?

水と油が交じり合わないように
友情と金の両立は絶対に出来ない。

そして油が無くても生きていけるけど
水が無いと生きていく事が出来ないんだ。

例え話はここまで。
どちらを選ぶかは君にまかせるよ。
− ユウジ -
ゴッドファーザー
私たち夫婦の良いところはね
互いが相手を一番の親友だと思っていたところなの。

ねえ、これってとても素敵なことだったのよ。

もう、
全てが過去形だけれど。

最初の歯車が狂ったのは
私の仕事が認められ、昇格したこと。
役職が付き、責任も重くなった。
給与も跳ね上がった。

もちろん彼の給料よりずっと上だ。

以前は仕事をがんばっている私の姿が好きだと言ってくれた彼。

しかし、
妻が自分より稼ぐ。これが現実になった時。
彼には耐えられなかったらしい。

それからの諍いは目も当てられない

少し残業して彼より遅く帰った。
買い忘れた食材があって夕飯の品数が少なかった。
彼の着たいワイシャツにアイロンがかかってなかった。
仕事で疲れたからとベッドで彼の誘いをやんわりと断った。

その度に繰り返される喧嘩。

「仕事なんて辞めろよ!」で終わる彼の怒鳴り声。
彼の不満はどんどん溜まっていった。

それでも私たちは何とかやってきた。
やはりお互いに愛しているし
かけがえの無い親友だと思っていたから。

けれども
愛情も信頼も友情も確実に擦り減っていった。

愛よりも時には強いこともあると思っていた友情まで
こなごなに壊れた。

こんなに脆いものだったなんて。

友情と金は、水と油ね。

決して混じることはない。
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